ドイツ・FRMへの進出のヒント 駐在員事務所の開設について

これからドイツや欧州市場に新規参入を検討するための市場調査など、ビジネスコンタクトの維持、本業の準備的・補助的な活動を目的とした進出の形態として、いわゆる「駐在員事務所」を選ぶことができます。

ですが、厳密にいうとドイツの商法では、ドイツの事務所が本社組織の支配下にある一部として活動する場合は「非独立支社」(Unselbständige Niederlassung / Betriebsstätte)との定義があるだけで、「駐在員事務所」という概念は存在していません。本業の準備的・補助的な活動に限られるような恒久的施設とみなされない形態を、実務上「駐在員事務所」と呼んでいるにすぎません。なお、委託を受けた組織外の独立した業者(例えばエージェントなど)が駐在事務所を開設する場合、当該企業はドイツ国内で独自のビジネス活動を行っているとはみなされません。

【注意】
課税に服する恒久的施設に該当するビジネス拠点とみなされるかどうかについては、日独租税協定第5条に記載されている、恒久的施設の概念も必ず確認してください。どこまでが、本業の準備的・補助的な活動にあたるのかの判断が難しいため、必ず専門家にご相談ください。

なお、当記事は、フランクフルト・ラインマイン地域への進出の手助けとなるよう、平易な文章で情報を提供することを目的としております。法的根拠や法的な保証を与えるものではありません。

よくある質問

駐在員事務所の開設には、何が必要ですか。

・事務所長として駐在員を日本から長期派遣する場合は、就労可能な滞在許可
・事務所
・営業届(管轄の市にもよりますが、事務所長が日本から派遣される場合、ドイツでの就労滞在許可を有していること)

駐在員事務所に営業届は必要ですか?

フランクフルトラインマイン地域では、駐在員事務所が所在している市の管轄の当局で営業届を行ってください。

駐在員事務所がオフィスを借りたい場合、オフィスの賃貸契約は駐在員事務所が契約者になれますか。

日本本社との契約になります。

営業届には何が必要ですか?

  • 営業届申請書
  • 日本本社の商業登記簿謄本+ドイツ語翻訳(多くの場合、翻訳の認証が必要です)
  • 日本本社からの委任状
  • 事務所賃貸契約書のコピー
  • 事務所長となる方の身分証明書(パスポート)、場合により滞在許可証

営業届は自分でできますか、コンサルタントに頼んだ方が良いですか。

ご自身でできないこともありませんが、営業届はドイツ語での記入となります。
フランクフルトラインマイン国際投資促進公社では、営業届申請書の記入のサポートを行っております。必要に応じてコンサルタントをご紹介いたします。お気軽にご相談ください。

駐在員事務所では、人を雇えますか?

税務署(賃金を払うための届け出)、労働局、健康保険組合、労災保険期間に届け出をした後、従業員を雇うことができます。駐在員事務所はドイツに法人格を持たないため、従業員との雇用契約は日本本社との締結になります。

続いて現地法人の設立について、次の記事でご紹介いたします。