ドイツ・FRMへの進出のヒント 現地法人(GmbH)設立について

ドイツの企業だけでなく、日本の企業が現地法人を設立する際に最も多くとられている法人形態が、有限責任会社(GmbH)です。
GmbHを設立すると、本社から独立した権利と義務、名称を持つ法人格が生まれます。GmbHは、自ら訴えたり訴えられたりすること、動産や不動産の所有者になることができます。一人(一社)の設立発起人(Gesellschafter:正式には日本語で社員、と呼ばれますが、当文中では出資者とします)によるGmbHの設立も可能です。さらにドイツ国籍者・居住者以外の外国人・外国の法人も特別な認可を必要とせずにGmbHを設立したり、GmbHの出資者となったりすることができます。

取締役は、定款で定められるか、通常設立発起人総会決議によって選任されます。(少なくとも1名、複数選任することも可能)

【注意】
ドイツ国籍を持たない外国人、つまり日本の方も、取締役になれます。取締役がドイツに居住する必要はありませんが、取締役がEU以外の国籍を持ち、取締役業務の執行が基本的にドイツで行われる場合は、少なくとも1名の取締役はドイツに居住、もしくはいつでもドイツに入国できる状態にある必要があります。

フランクフルトラインマイン国際投資促進公社では、ドイツ国外からの進出におけるGmbHの設立の全般的な情報のご提供、諸々の手続きをサポートするコンサルタント(弁護士事務所・会計税務事務所など)のご紹介、そして事業所選びのサポートを行っております。お気軽にお声がけください。
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なお、当記事は、フランクフルト・ラインマイン地域への進出の手助けとなるよう、平易な文章で情報を提供することを目的としております。法的根拠や法的な保証を与えるものではありません。

GmbH設立の大まかな流れ

以下は、あくまでも平易な言葉で説明することを目的としております。定款に書くべき内容や詳細は、必ず弁護士事務所・会計税務事務所など専門コンサルタントの方に確認してください。

1)公証人の目前で行われる設立総会で書類の公証・定款の認証が行われ、公正証書(Gründungsurkunde)が作成されます。
・「設立中」を意味する i.G.の称号が会社名に付与されます。まだ法人格ではないので、この時点で会社に何か問題が起きて損害賠償責任が発生した場合、取締役個人の責任になることに注意してください。

2)上記を以って法人銀行口座を開設し、資本金を払い込みます。(払込額は、最低でも資本金の50%以上)
・資本金を必要最低額の25.000ユーロとした場合は、登記の段階では半額の12.500ユーロの現金の払い込みで構いません。ただし、複数の出資者がいる場合、それぞれの出資者は少なくとも出資比率に応じた出資額の25%以上を払い込み、すべての出資者の払い込み額を合算して12.500ユーロに達している必要があります。資本は非貨幣性資産でも可能ですが、ここでは割愛します。

3)資本金払い込みののち、出資者リスト・取締役指名に関する法的に有効な書類と共に、公証人が管轄の登記裁判所に登記の申請をします。この時点から、登記が完了されるまでにだいたい1週間から3週間かかります。この期間は、繁忙期・閑散期・休暇シーズンによって変わるので、あくまでも目安です。

4)登記が完了したら、営業届・税務署や労働局など当局に届け出を行います。営業届については、現地法人の社長がドイツ・EU国籍以外の場合、基本的には社長となる人の就労・滞在許可がおりていることが条件となります。(市によっては社長の住民登録が済んでいることのみで届け出可)

GmbH設立の準備

上記GmbH設立の大まかな流れ1)の設立総会に向けて以下の準備が必要です。ここでは、日本本社がドイツ現地法人に100%出資する場合を例にとります。実際には、準備から登記、登記後の各種届出まで、弁護士事務所やGmbH設立のサポートを行う税務・会計事務所に依頼するのが一般的です。

1)定款の作成(ドイツ語)
2*)出資者の資格証明 (オリジナル文書に、法定翻訳)…日本本社が適法に存在し、署名する人が本社の代表権を持つことを証明するための証明書類。
3*)委任状(ドイツ語)…ドイツの公証人の目前で行われる設立総会で、日本本社社長に代わって署名をする権限を、別の人(多くは現地法人の社長となる予定の人など)に委任するための書類

上記2*)出資者の資格証明は日本の法務局および外務省または在日ドイツ在外公館で認証してもらい、アポスティーユを添付してもらう必要があります。アポスティーユ以外の書類の法定翻訳も必要です。

上記3*)日本本社社長の方が、
-日本の公証人の目前で委任状に署名し、日本の法務局および外務省よりアポスティーユを添付してもらうか、
-在日ドイツ大使館・領事館で委任状に署名をし、アポスティーユを添付してもらう必要があります。

GmbH設立に向けての他の確認事項:

1)登記予定の事業所の決定
2)現地法人の社名の決定
3)ハウスバンクの決定とコンタクト

よくある質問

GmbHの設立には、どれくらいの期間を要しますか。

設立総会までの準備と銀行口座開設にどれだけ時間を要するかによります。
準備段階から登記完了まで、だいたい4~5カ月はかかります。

GmbHの設立に、どれくらい費用がかかりますか。

資本金(最低25,000ユーロ)、
弁護士事務所・公証手続き代など設立費用:2,000ユーロから

その他:
事務所賃貸初期費用:敷金、場合によって仲介手数料
スタッフを雇う場合、人材紹介会社への仲介手数料など

GmbH設立のために、オフィスを借りたいです。レンタルオフィス(ビジネスセンター)でも登記できますか。

物理的に常時執務を行える専用スペースが確保されていれば、基本的にレンタルオフィス(ドイツではビジネスセンターと呼ばれます)でも登記は可能ですが、賃貸契約前に必ずレンタルオフィスでも確認してください。フランクフルトラインマイン国際投資促進では、事業用物件のご案内も行っております。

どの段階で、営業活動を開始できますか?

商業登記・営業届が完了すれば営業活動は行えますが、納税番号が付与されない限り、請求書を発行することができません。登記がすんだら早めに税務署で手続きをしてもらえるよう、税理士に依頼してください。

設立するGmbHの社長となる人は、日本から出向の予定です。どのタイミングで就労・滞在許可を申請できますか。

滞在許可申請は、GmbHの登記が完了した後に行います。さらに、ドイツに入国してから滞在許可を申請する場合は、居住する市の住民登録を済ませてからの申請となります。申請に必要な書類をそろえるのに期間を要することがあるため、早い段階で準備を始められることをお勧めします。