フランクフルト・DIGITAL FUTUREcongressレポ/IoT World Conference@名古屋

デジタル化関連の催しとしてヘッセン州で最大のコングレス、”DIGITAL FUTUREcongress” (⇒公式サイト) が2019年2月14日、フランクフルト市のメッセ会場で行われました。特に今年は、ドイツを代表するIT関連のメッセ「CeBIT」廃止が決定されたため、その代わりとして当コングレスは重要な意味があったように見受けられました。 このコングレスでは、基調講演・テーマごとに5つのカンファレンスルームで行われるプレゼンテーション、150社からなる展示スペース、ワークショップで構成され、デジタル化を担う企業・組織によりユーザーに向けてデジタル化のための様々なアイディアが紹介されます。

環境・アイディアコンペティション

CO2排出の削減に向けて、自動車のEV化の他にも面白い環境対策アプローチがされているので、今日はその一つのご紹介です。 その名も、”Ideenwettbewerb Klimaschutz”(環境保護アイディアコンペティション)。クリエイティブな環境保護アイディアに、賞金総額110,000(1ユーロ131,90円換算で約1460万円)ユーロを授与するというプログラムです。2015年には6つの企業が受賞し、実現化や試験のために賞金が使われます。 少々前の話ですが、2015年のコンペでは、モビリティにかかわるプロジェクトの例として以下のような企業が賞を獲得しました。 「Initiative 2proAuto」(直訳:イニシアチブ 2proAuto) http://2proauto.de/ もともとは2010年ダルムシュタット工科大学発のスタートアップ企業によって開発されたカーシェアリングプラットフォームflincですが、2proAutoの主な目的は、flincで短距離での移動の利用促進を行うことです。同社のウェブサイトのインフォグラフィックによれば、フランクフルトへの通勤は79%が自家用車で、平均搭乗者数は1.2人。もし、週に1度自分で車を運転しない日を作ると、その日は3万2635台の車を減らすことができるという計算です。 筆者も個人的に同じエリアに住む同僚と数週間、カーシェアリングで通勤をしたことがあります。前後に時間の制限(子供の学校の送り迎えなど)がなければ実現は難しくないかもしれません。現に、このインフォグラフィックによればドイツ人の72%がカーシェアリングに意欲的のようです。 „Moderne und CO2-neutrale Innenstadtlogistik mit Cargobikes und Lastenrädern“ (直訳:近代的かつCO2フリー 貨物自転車) https://sachenaufraedern.de/ P. Köhler und S. Bergen GbR社と、KG-Vertrieb社の経営者であるKlaus Grund氏が共同で、フランクフルト市内の輸送手段として貨物自転車のコンセプトを考えました。 上記リンク先のホームページで、なかなか斬新な電気自動車の画像をご覧いただけます。市内で直接販売を行う業者の商品を、オンラインで注文し、宅配で届けてもらえる仕組みです。環境対策だけでなく、地場産業の活性化にも一役買っているというわけです。 また、2018年9月17日フランクフルト市のプレスリリースによると、同じくKlaus Grund氏とHerbert …

デジタル化を支えるスタートアップ企業支援

ドイツ発の製造業の革新”インダストリー4.0″というキーワードが浸透してずいぶん経ちました。日本のメディアでも、ドイツがこのインダストリー4.0の分野で先進的であると取り上げられているのを、ご覧になっている方も多いと思います。昨年2017年のポストでも、今後、ドイツが持続的な発展をするためにはイノベーションの推進が欠かせず、特にIoTやインダストリー4.0に力を入れていることを述べました。 実際に産官学共同の”インダストリー4.0″は国家プロジェクトとして推進されているわけですが、スマートファクトリーの実現にむけて実際にどんな取り組みがされているのか、というのはあまり身近ではないかもしれません。 デジタル化を促進 特に、ドイツは日本と同じく、従業員数500人以下中小企業が製造業を支える屋台骨。これら中小企業の(そして地域の)競争力を保つために、デジタル化が最大のテーマとなります。そこでドイツの地域ごとに中小企業4.0コンピテンスセンター”Mittelstand 4.0″を置き、中小企業の製造・作業工程のデジタル化を促進しています。 当地域の”Mittelstand 4.0″はフランクフルトから南へ30km離れた、工科大学で有名なダルムシュタットにあり、そこでは同大学・フラウンフォーファー研究所などが協業で労働・効率化・エネルギーに重点を置き、様々なセミナーやプロジェクトを行っています。 効率化のテーマに関しては、”Die Prozesslernfabrik CiP”(プロセス・ラーニング工場)では、1、デジタル化についてのオリエンテーションなどの情報提供、 2)自社でどの工程をデジタル化をすれば良いのか、既存のビジネスモデルをどう発展するか、エキスパートによる戦略を練るなどの分析、3)実現のためのノウハウ伝授、4)実現化へのサポートが行われています。 起業家の支援 さらに、2017年12月には、ダルムシュタット市とダルムシュタット商工会の共同プロジェクトとして、テクノロジー&インキュベーションセンター(Technologie- und Gründerzentrum)、HUB31がオープンいたしました。 コワーキングスペース、レンタルオフィスの提供のみならず、3Dプリンターや金属や木材の加工に必要な工具を備えた作業スペースもあり、定期的なイベントで起業家のコーチングを行ったりと、スタートアップの支援に力を入れています。今のところ、10社ほどのスタートアップ企業が、日々デジタル化に取り組んでいます。 ≪参考≫ HUB 31 Technologie- und Gründerzentrum https://hub31.de/ また、メカトロニクス&オートメーションクラスターのあるウンターマイン地域(バイエルン州)Zentechでも、同じくイノベーションを起こすスタートアップ企業の支援が行われています。 ≪参考≫ Zentech Technologie- und Gründerzentrum https://www.zentec.de/ …

ヘッセン州WiFi-Hotspot強化プロジェクト

2018年9月10日、ヘッセン州のアル・バジール経済大臣より、自治体のWiFi(ちなみにドイツではWLANといいます)ホットスポットへの助成プログラムが発表されました。 今までフランクフルトマイン地域のデジタル化について何度かテーマにしてきましたが、その実現にはやはりインターネットの充実が欠かせません。 ドイツ全体からみたら、ヘッセン州のブロードバンド普及率は高いエリアで、現段階では85.5%の世帯は少なくとも50Mbit/sの通信族毒のインターネットに接続されています。とはいえ、今後さらに増えるであろう様々なプロジェクトに対応するため、2025年までには毎秒ギガビット級のブロードバンドの普及を目指すと、アル・バジール経済大臣も述べています。

ドイツ・デジタル戦略

IoT(物のインターネット)やインダストリー4.0(第四次産業革命)という言葉をメディアでも耳にしたり目にすることがずいぶん多くなりました。 日本と同じく製造業の国ドイツでは、今後、持続的な発展をするためにはイノベーションの推進が欠かせないものと、特にIoTやインダストリー4.0、さらにデジタル化に力をいれています。