ドイツ発の製造業の革新”インダストリー4.0″というキーワードが浸透してずいぶん経ちました。日本のメディアでも、ドイツがこのインダストリー4.0の分野で先進的であると取り上げられているのを、ご覧になっている方も多いと思います。昨年2017年のポストでも、今後、ドイツが持続的な発展をするためにはイノベーションの推進が欠かせず、特にIoTやインダストリー4.0に力を入れていることを述べました。
実際に産官学共同の”インダストリー4.0″は国家プロジェクトとして推進されているわけですが、スマートファクトリーの実現にむけて実際にどんな取り組みがされているのか、というのはあまり身近ではないかもしれません。
デジタル化を促進
特に、ドイツは日本と同じく、従業員数500人以下中小企業が製造業を支える屋台骨。これら中小企業の(そして地域の)競争力を保つために、デジタル化が最大のテーマとなります。そこでドイツの地域ごとに中小企業4.0コンピテンスセンター”Mittelstand 4.0″を置き、中小企業の製造・作業工程のデジタル化を促進しています。
当地域の”Mittelstand 4.0″はフランクフルトから南へ30km離れた、工科大学で有名なダルムシュタットにあり、そこでは同大学・フラウンフォーファー研究所などが協業で労働・効率化・エネルギーに重点を置き、様々なセミナーやプロジェクトを行っています。
効率化のテーマに関しては、”Die Prozesslernfabrik CiP”(プロセス・ラーニング工場)では、1、デジタル化についてのオリエンテーションなどの情報提供、
2)自社でどの工程をデジタル化をすれば良いのか、既存のビジネスモデルをどう発展するか、エキスパートによる戦略を練るなどの分析、3)実現のためのノウハウ伝授、4)実現化へのサポートが行われています。
起業家の支援
さらに、2017年12月には、ダルムシュタット市とダルムシュタット商工会の共同プロジェクトとして、テクノロジー&インキュベーションセンター(Technologie- und Gründerzentrum)、HUB31がオープンいたしました。
コワーキングスペース、レンタルオフィスの提供のみならず、3Dプリンターや金属や木材の加工に必要な工具を備えた作業スペースもあり、定期的なイベントで起業家のコーチングを行ったりと、スタートアップの支援に力を入れています。今のところ、10社ほどのスタートアップ企業が、日々デジタル化に取り組んでいます。
≪参考≫
HUB 31
Technologie- und Gründerzentrum
https://hub31.de/
また、メカトロニクス&オートメーションクラスターのあるウンターマイン地域(バイエルン州)Zentechでも、同じくイノベーションを起こすスタートアップ企業の支援が行われています。
≪参考≫
Zentech
Technologie- und Gründerzentrum
https://www.zentec.de/