ドイツ・フランクフルトのフィンテック事情まとめ

欧州中央銀行・連邦銀行はじめ200以上のドイツ国内外の銀行が拠点を置いているヨーロッパ屈指の金融都市、フランクフルト。ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)の影響もあり、フランクフルトの金融センターとしての重要性がさらに増しております。


あまり知られていないことですが、実はフランクフルトには高速スループットを誇るインターネットハブ、最大級のデータセンターがあり、フィンテックにとっては十分な素地が整っているのです。インキュベーター、アクセラレータの増加とともに、フィンテックでのスタートアップ企業数も増え続けており、この分野でも”ハブ”機能を果たしているといっても過言ではないでしょう。

フィンテック(FinTech)とは…
ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語で、特にスタートアップ企業(新興企業)の活躍が目覚ましい分野です。ドイツでも2014年ころから、盛んにメディアでFinTechの言葉を目にするようになりました。

そこで、特にグローバル市場で活躍のフィンテック企業の皆様には興味深いと思われるフランクフルトのフィンテック事情をまとめます!

1. どんなフィンテック企業が活躍している!?

昨年2016年アムステルダムで行われた、European Fintech Awardsでは、ドイツからは10社ほどトップ100入りしました。2016年にはドイツ連邦金融省にて”ドイツのフィンテック市場(原題:FinTech- Markt in Deutschland)(ドイツ語)”という統計レポートが公表されています。

以下に、主なフィンテック企業をリストアップしてみます。

bettervest
エネルギー効率、省エネプロジェクトへの投資に特化した、クラウドファンディングプラットフォームを提供。

Debitos
ドイツ初、債権の売買をオンラインで行えるプラットフォームを開発。

traxpay
企業間の送金をよりシンプルに。

Creditshelf
中小企業のスムーズな資金調達のためのオンラインレンディングプラットフォーム。

Ginmon GmbH
資産運用のシミュレーション・資産配分システムを提案。

360T
FX取引所。2015年にドイツ証券取引所グループの傘下となりました。

Vaamo
ロボアドバイザーアプリを開発。

などなど。ほかにも多数活躍中です。

フィンテック企業の分布を定期的にアップデートしているPaymentandbankingのページでは、ドイツのフィンテック企業の大まかな状況をつかむのに参考になるかもしれません。

2. アクセラレータ・インキュベータ

フランクフルト地域の情報ですが、アクセラレータやインキュベータによるサポートも続々と設立されております。

TechQuartier
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フィンテック・スタートアップ企業のコンタクトポイント。
メンターによる相談、様々なプログラムから、オフィススペース、コミュニティイベントを提供しています。

Accelerator Frankfurt GmbH
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メンターによる相談、コーチング、オフィススペースの提供、プロフェッショナルなサービスを提供することで、スタートアップ企業の企業をサポート。
年に2度行われる、スタートアップ企業4か月間のプログラムは要チェック。対象は、フィンテック・レグテック・インシュアテック・サイバーセキュリティ、ウェブテックの企業です。

Digital Factory by Deutsche Bank
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ドイツ銀行が、デジタルソリューション開発のために創設し、400名以上のソフトウェア開発者が共に開発にあたっています。フィンテック企業向けに50のワークステーションを設けています。

参考リンク:ドイツ銀行プレスリリース

FinTech Hub by Deutsche Börse
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ドイツ証券取引所によるフィンテック・ハブ。オフィススペースや会議室を提供するほか、コンサルティング業務も行います。対象は、フィンテック企業。

FinTech Lab by FinTech Group AG
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バンキングシステムへのアクセスだけでなく、ライセンス・規制等に関して専門家によるアドバイスを受けることができます。APIやFintech Groupのソフトウェアへのアクセスを提供することによってもスタートアップ企業をサポートします。対象は、フィンテック企業。

Main Incubator by Commerzbank
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100%コメルツ銀行の出資によるインキュベータ。ビジネス設立から、商業へのアクセスまで、資金の提供、コメルツ銀行の顧客へのアクセス、銀行業務のノウハウやオフィススペースの提供まで、取り組んでいます。対象は、フィンテック企業。

出典:
Hessen Ministry of Economics, Energy, Transport発行
Welcome to Frankfurt, Welcome to Hessen Fintech Edition and Regional Development (英語)
https://www.htai.de/mm/mm002/HT-I17021-Fintech-170427_small.pdf

3. 今後のドイツフィンテック市場予測

ドイツ全体の話にはなりますが、先述の2016年10月発行の”ドイツのフィンテック市場(原題 FinTech- Markt in Deutschland)”の資料をもとにすると、過去これまでの市場規模は22億ユーロ。ベストシナリオで2020年には580億ユーロ、2025年には970億ユーロ、そして2035年には1,480億ユーロに達するとの予測です。特にロボアドバイザーの分野で急成長がみこまれる計算です。

ドイツでも日本でも、これからフィンテック市場の展開がどうなるのか、要注目ですね。