みなさん、「Rheingau Koshu」というワインをご存知ですか?これは、ドイツで初めて、日本固有のぶどう品種”甲州”を用い、リースリングの聖地・ラインガウで造られた白ワインで、2019年3月、国際的なワイン・アルコール飲料展「ProWein 2019」にて大々的にお披露目されました。
醸造するのは、ライン川沿いのワイン産地として有名なラインガウで、長年、高品質ワインを造り続けるSchönleber-Blümlein社。オーナーのFrank Schönleber氏は、大学で醸造学を専攻し、国内外でワイン造りを学んだ後、2003年に同醸造所の当主に就任。同年、交流のあった日本人コンサルタントから、”甲州”の栽培を勧められたのを機に、”甲州”の苗木を自社の特級畑に移植、2005年にファーストヴィンテージを誕生させたのです。
しかし完成までは、日本からドイツに苗木を持ち込む、栽培の難しい”甲州”を、環境も栽培方法も違うドイツで育成する…など、苦労の連続。Schönleber氏はそれらに屈することなく、ドイツ、いえいえ世界で初めて、日本国外で甲州ぶどうワインを完成させ、今もなおドイツで唯一の甲州ぶどうワインの造り手として名を馳せています。
最初は日本限定でしたが、2015年、欧州での販売が開始されました。2017年のヴィンテージより、ラインガウワインのみに使われるボトル、ラインガウフルートが採用され、ラベルには、日独文化交流に尽力する書道家、クノウブラウホ眞澄さんによるエレガントな”甲州”の文字がデザイン。日本のぶどう×ドイツのテロワールが融合したこのワインにふさわしい、日独コラボの装いに。気になるフレーバーは、フルーティーな黄リンゴや白桃、柑橘系の香りに、白コショウのニュアンスが程よくプラス。豊かなミネラル感があり、甘さと酸味のバランスも抜群です。
これから登場する2018年ヴィンテージは、これまでの果実味が強く、膨らみのある味わいを、さらにすっきり辛口に仕上げているそう。インターネットで購入できるほか、日本または日独関連のイベントにお目見えすることもあるので、ぜひ味わってみてはいかがでしょう?
取材協力・文中写真提供: UENO GOURMET上野ミュラー佳子さん、
聞き手:大越理恵
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編集プロダクション勤務を経て、1996年よりフリーライターとなり、情報誌や単行本の取材・ライティングを担当。2007年にドイツへ拠点を移してからは、リトルプレス『点線面』、海外情報サイト『Bound to Bound』(https://boundtobound.netm)などで、生活に密着したドイツ情報を届けるほか、ドイツで活躍する日本人のインタビューを行う。自身が所属する「POMP LAB.」サイト内(http://pomp-lab.net)では、フランクフルトブログも公開中