【日本代表コラム】3/18 ”FRM生まれの甲州ぶどうワイン”の記事に寄せて

フランクフルトラインマイン 国際投資促進 日本代表として2020/3/18付けのFRM MicroSiteの記事「世界で唯一!ドイツ・FRM生まれの甲州ぶどうワイン」(記事へリンク)に対しては格別の思いがあります。

フランクフルトラインマイン国際投資促進・日本代表として参加する際、FRMに興味を持った点を聞かれた時、フランクフルトは欧州の航空システムのハブであるとともに、金融センターのハブでもあると思いました。そしてこれらはグローバルなビジネス活動においての最重要要件であるが、中でもフランクフルトは欧州はもちろんドイツの中でも地理的にまさに中心であり、これは事業拠点作りを模索している日系企業にとって非常に大切な要素であり、自分たちにとっては業務をやりやすくしているな、と思ったのです。

しかしまた一方で思ったのは、FRM地域というのは単にビジネス的に魅力が有るだけではなく、地域での生活レベルで非常に高いものになっている、ということでした。これは良い立地を探している日系企業にとっては非常に意味深いことで有ると思います。なぜなら、これらは拠点立地を探す場合に不可欠な要素となるからです。ビジネス的に非常に良い場所、そして同時に効率的な仕事をするための素晴らしい環境。ビジネスインフラと、自然環境の完璧な組み合わせ。私はこれこそがFRM地域が提供する大きな価値だと思います。当然この組織で自分が働くということについてとても嬉しいことと捉えております。

さて、卓越したヴィンテージワインを作る上でのFRM地域と「甲州ぶどう」との間の驚くべきコラボレーションについての記事です。これはたまたま家内と私の両方の故郷が山梨県で有り、同県が「甲州ぶどう」という名前のぶどうの原産地ということでさらに重要です。「甲州」とは山梨県地域の昔の名前であり、「甲州ぶどう」がここで開発され、山梨県の各地で生産がされていったのです。

大越さんによって書かれた報告記事を読ませていただいた後、私は「甲州ぶどう」とこのぶどうを使ったヴィンテージワイン作りにまつわる幾つかのことを調べてみたのです。話はたやすく20年ほど前に遡り、当時高橋克彦さんという方が知り合いの人からの助言を受けて, 甲州ぶどうの苗木をラインガウエリアに持ち込んだのです。確かに気候も栽培方法も違うのでなかなかうまくは行きませんでしたが、段々と改善されていったのです。ここで忘れられないのは、あらゆる努力をして自ら「甲州ぶどう栽培」を粘り強く改善していったのは、シェーンレバー・ブリュームライン ワイナリー社のオーナーであるドイツ人 フランク・シェーンレーバー氏だったのです。同氏は2005年に初めての「甲州」ヴィンテージワインを作り上げました。ドイツと日本の実に見事なコラボレーション・ストーリーではありませんか?様々な困難を乗り越えて、「日本以外での最初の甲州ぶどうワイン」を作り上げることに成功したのです。

山梨県でメデイアで働く次男という個人的なルートを通して私は山梨県の酒折にあるワイン醸造とワイン販売を手がけ、当初よりこのヴィンテージワインの紹介を続けている会社を見つけました。同社は「甲州ーラインガウヴィンテージワインを取り扱う日本でただ一つのワインショップ」という名を欲しいままにしているのです。また同社では毎年ドイツワインフェストを開催して来ており、「甲州ラインガウ」は当然ですがイベントの主役となっているのです。私は今年はまずはこのワイン会社、さらにこのイベントを訪れてみたいと思っています。それまでの「新型コロナウイルスパンデミック問題」が改善していれば良いのですが。結果はまた報告させていただきたいと思います。

私はワイン愛飲者としてリースリングを使ったラインガウ白ワインが好きです。しかしこれからは「甲州ラインガウ」をもっと楽しんで行こうと思います。それは「FRM・ラインガウ」と「甲州」という二つの大切な地域のコラボレーションから素晴らしい芳潤が感じられるからです。もちろん自分の仕事であるFRM地域の投資促進業務でもこの美談を使ってゆくと思います。読者も恐らくはワインを飲むという観点だけではなく、ビジネスと自然を併せ持つと言うFRM地域最大のメリットの観点からも賛同いただけることでしょう。

浅川石見
Iwami Asakawa