Honda R&D Europe (Deutschland) 副社長 奥氏インタビュー ~バーチャルテストセンター開設に寄せて~

自動車産業が直面している転換期に向けて

-最近の自動車業界のトレンドに関連して、バーチャルテストセンター以外に、力を入れている事があれば教えて下さい。

自動車産業が直面している転換期に、大きく影響を及ぼす技術革新が、電動化、自動運転、コネクティビティの技術です。これらの技術の進化と組合せで、カーシェアリングや充電サービスといった、今までの自動車産業には無かった新しいビジネスモデルが生まれて来ています。

我々自動車会社も、車の個人所有を中心とした従来のビジネスモデルの継続だけでなく、新しい価値やサービスの提供を模索していかないと生き残れない恐れがあり、多様な文化をもつ成熟した欧州の社会や人の価値観の動向は、将来の世界の方向性に及ぼす影響力という観点で、しっかり見極めていく必要があると思います。

弊社も欧州のR&D拠点として、新しいビジネスモデルに繋がるような新技術や新価値の研究に力を入れています。

立地の良さにとどまらない、新価値創造の条件

-フランクフルトラインマイン地域の特徴の一つに、高い交通の利便性があります。御社にとってはどのようなメリットがありますか。

ドイツは欧州の中央に位置しており、更にフランクフルトは欧州の空の玄関口ですので、欧州内や海外へのアクセスの良さが大きな魅力のひとつです。弊社のようなR&Dを主体とする会社にとって、ドイツ内だけでなく欧州のビジネスパートナーとの直接のやり取りや、各種学会やカンファレンスへの参加がとても容易です。

更に自らの研究開発の活動拠点として、フランクフルト周辺には大きなドイツの自動車会社が無いので、優秀な人材を確保しやすいといった面もあります。

この自動車産業の大きな転換期において、時代の先を行く新価値を生み出すには、私は“多様性”と“柔軟性”がとても重要だと思っています。

フランクフルトは国際都市であり、多様性と柔軟性に満ちた自由な空気が街に満ちていると感じていますし、弊社にも様々なアイデンティティを持ったアソシエートがたくさんいますので、弊社がフランクフルトエリアに拠点をもつメリットは大きいと思います。

Hondaの「人間尊重」のフィロソフィーにもとづいて、様々な価値観を受け入れ、柔軟な思考と判断を積み重ねていくことにより、Hondaらしいユニークなアイデアが生まれ育って、グローバルに社会やお客様に貢献できると考えています。

奥氏流、エネルギーチャージの方法

Honda R&D Europe (Deutschland)
副社長 奥 康徳氏、同社前にて

-最後に、奥さんご自身についてお伺いさせてください。オフの時間はどのように過ごされていらっしゃいますか?

実は私はドイツが初めての海外駐在で、赴任して3年半になります。最近日本で良く話題になる、ワークライフバランスの重要性を肌で感じています。月曜から金曜は、しっかり集中して働き、土日や休日は目いっぱいプライベートの時間を楽しんでリフレッシュするドイツのライフスタイルが、創造性とチャレンジの意欲を高め、モチベーションを維持するのに効果があるのではと、感じています。

ドイツに来てから始めた自転車にハマってしまい、週末は良くロードバイクでツーリングに行っています。ドイツは自転車レーンが整備されており、マイン川沿いをはじめ素晴らしいコースが沢山あります。

車でアウトバーンを200km/hで疾走する魅力と、自転車で20km/hで豊かな自然と美しい景色を楽しみながら自力で旅をする魅力が、私にとってドイツの醍醐味と言えるかもしれません。

また、駐在を機に初めて買った一眼レフで、行った先々の美しい景色を写真に撮るのも、楽しみのひとつです。

自転車やカメラを通して、こちらで知り合った皆さんが、とても元気で何事にもチャレンジングなので、私もとても良い影響を与えてもらっています。
(了)

-お忙しい中、インタビューへのご協力どうも有難うございました。